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生きとし生けるもの



飼っていた猫が今日、息をひきとった。

この2週間まえくらいから調子が悪くて、特にこの1週間は嘔吐を繰り返しており、通院をしていた。医者からも「今週が山」と言われていた。やはり今週に入って調子は下降線をたどり、今日、眠りについた。会社にいた僕は、昼過ぎに妻からメールが来て亡くなったことを知った。午前中に病院に行き、帰りのタクシーで静かに息をひきとったらしい。

会社を定時過ぎに切り上げて家に戻ると、そこにはまるで眠っているかのような猫がいた。体を触ると温度は感じず、剥製を触っているかのような感触。でもその姿は元気な頃の凛々しい姿であり、そして何よりやすらかな顔をしてた。ここ数日、猫もほとんど眠れなかっただろう。やっとゆっくり眠れる。



猫は12、3年前、妻が独身で一人暮らしをしている時に飼い始めた。家の近くにいた野良猫だったようだ。彼女が一人でイラストレーターとしてフリーで活動し始めた頃だろう。一人暮らしで心細い時もあっただろうが、いつも傍には猫がいてくれて、話相手になっていたんだろう。

異常に人見知りで、そして臆病。妻以外の人間が家にやってきたら、ベッドの下に隠れて絶対に出てこない。たまにチラリと姿を見せてもフーッって威嚇したり。そんな猫だった。でも、僕が妻の家に初めて遊びに行った時には、なぜか最初から寄ってきてくれた。これには妻もビックリしていた。付き合ってから45日で結婚した僕たちだけど、きっと猫が気に入ってくれたのも妻が結婚に踏み切った理由の一つかもしれないなぁと思ったり。

結婚してからは、僕が会社から帰るとすぐにニャーとエサを要求してくるのが決まりになっていた。結婚してから常に家にいた猫。もう仕事から帰ってエサを要求されないのかと思うと凄く寂しい。

実は一昨日の夜、僕は猫が死んでしまう事を悟った。ぐったりと寝ていた猫が、ふと顔をあげて妻、そして僕を見た。かつて僕の母親が病室で昏睡状態になる直前にした行動と同じだった。思わず「あぁ、そうか」と頭の中で理解した。


最後まで頑張った猫、そして昼も夜もほとんど寝ないで看病した妻も頑張った。
猫はまるで今にも起き出して、エサをくれと鳴きだしそうだ。

猫、今までありがとう。楽しかったね。やすらかに。




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追記:18日23時半

ふと部屋の片隅を見ると、一瞬猫の姿が見えるような気がする。
黒いものが床に置いてあると、猫に見間違えてしまう。

ベッドに寝てると、布団の上にドサッと乗ってくる事も無いし、トイレに入るとすぐに後をつけて「入れろ」と鳴いてもこない。外から帰ってドアを開けても出迎えてくれない。妻の膝の上で寝ていない。

悲しみは一過性だが、寂しさはなかなか消えない。

寂しさが思い出に昇華するまで、耐えなくてはいけない。
あのコも頑張ったのだから。